情熱的な街並み、美術館、バル文化…マドリードは何度でも行きたくなる魅力にあふれた都市です。
とはいえ初めての渡航だと「入国審査は?」「地下鉄って複雑じゃない?」「スリが多いって聞くけど大丈夫?」と不安も多いはず。
この記事では、出発前に押さえておきたいポイントを実践的な視点でまとめました。
スペイン入国

まず知っておきたいのが、ETIAS(エティアス)という新しい渡航認証制度です。
これまで日本人はビザなしでシェンゲン加盟国に入国できましたが、EUはETIASの導入を進めており、日本のパスポート保持者も対象になります。
ただし何度も延期を繰り返しており、外務省の案内でも運用開始は2026年第4四半期(10〜12月)予定とされ、現時点ではまだ運用されておらず、
渡航に際して手続きは不要です。渡航前には必ず外務省や欧州委員会の公式情報で最新状況を確認しましょう。
ETIASと並行して、シェンゲン圏ではEES(出入国管理システム)という電子的な国境管理システムがすでに稼働を始めています。
空港などの国境検問所でパスポート情報や顔写真・指紋といった生体認証データが登録される仕組みで、渡航者側が事前に行う手続きは特にありません。
到着時は係官の案内に従えばOKです。
入国審査のポイント
- 入国審査ではパスポート、(求められれば)復路航空券や宿泊先情報を提示できるようにしておくと安心
- 90日以内の観光目的であれば、現時点ではビザは不要
- ETIASが本格運用された後は、渡航前にオンラインで認証を取得しておく必要があるので、出発前のニュースは要チェック
実際に筆者が渡航した2026年1月時点では、ETIASはまだ運用開始前だったため、渡航認証の申請は不要で、通常通りパスポートのみで入国できました。
導入時期は今後も延期される可能性があるので、「もう始まっているはず」と思い込まず、出発直前に必ず最新情報を確認するのがおすすめです。
地下鉄

マドリード観光の主役はやはりメトロ(Metro de Madrid)。
13路線が市内をカバーしており、主要な観光スポットはほぼ「ゾーンA」内に収まっています。

きっぷの種類
| 1回券 | 最初の5駅までは1.50€、以降1駅ごとに0.10€加算(上限2.00€程度)。どんなに遠くへ行っても2ユーロ程度で収まる仕組み |
| 10回券(メトロブス) | 数駅程度なら7〜12€ほど。複数人でシェアできるのも便利 |
| ツーリストパス | 1日〜7日券があり、ゾーンA内であればメトロ・バス(EMT)・近郊列車(セルカニアス)・トラムが乗り放題。滞在中よく乗る人にはこちらがお得 |

チケットはICカード「Tarjeta Transporte Público(TTP)」方式で、券売機で購入時にカード代(2.5€程度)が別途かかります。
改札は入場時のみタッチし、出場時のタッチは不要です。
また、このカードは1枚を2人でシェアして使うことができます。

1人が改札を通過したあと、そのままカードを後ろの人に渡してタッチしてもらえばOKなので、10回券などをまとめ買いする場合は人数分カードを用意する必要はありません(日本のSuica感覚だとつい1人1枚と思ってしまいますが、マドリードでは1枚の使い回しが一般的です)。
空港利用時の注意
空港(バラハス)発着の地下鉄利用には追加料金(3€程度)がかかります。
券売機で購入時に空港料金込みかどうか確認しましょう。
※市内バス(EMT)は今回の旅では利用しなかったため、本記事では割愛します。
地下鉄のドアは手動で開ける

日本の地下鉄のようにドアが自動で開くと思いきや、マドリードのメトロは駅に停車してもドアが自動では開かないことがあります。
ドアについている取っ手(レバー)を上に持ち上げることで初めて開く仕組みで、知らないと「あれ、ドアが開かない」と戸惑ってしまうかもしれません。
降りる駅が近づいたら、自分でレバーを操作する必要があることを覚えておくとスムーズです。
タクシー・Uber

マドリードのタクシーは白い車体で、車の上に緑のランプがついていれば空車の合図です。
料金はメーター制で、政府が定めた統一料金体系があるためぼったくりの心配は比較的少なめです。
- 空港〜市内(環状線M30内):定額制(30€台、時期により変動あり)
- 平日日中の初乗り運賃:2.40€前後、深夜・週末はやや高め
- 支払いはクレジットカード対応の車両が多い
- スペインではタクシーへのチップは基本的に不要
Uberについて

「マドリードはUberの台数が少ない」という情報もネット上にはよく見かけますが、筆者は今回の旅ではタクシーではなくUberを利用しました。
体感としては特に困ることもなく、通常通りアプリで配車依頼ができました。
乗車前に料金が確定するので、スペイン語に自信がなくても行き先を口頭で伝える必要がなく、安心して使えたのが良かったです。
空港からの乗車の場合は、乗り場がタクシー乗り場とは別の場所(駐車場ビル内など)に指定されていることがあるので、アプリの案内をよく確認しましょう。
通信(eSIM)
現地での通信手段にはeSIMを利用しました。
今回はKLOOKでヨーロッパ周遊プランのeSIMを事前購入し、日本にいる間にアプリ上で設定を済ませておいたので、マドリードに降り立った後は特に何もすることなく、そのままインターネットが使える状態でした。(上の画像をクリックすると私が使用したものと同じものを購入することが出来ます。)
空港でSIMカウンターに並んだり、物理SIMを差し替えたりする手間が一切なかったのが快適でした。
- 出発前に事前購入・事前設定を済ませておけば、現地に着いた瞬間から地図アプリやUberがそのまま使える
- 「ヨーロッパ周遊プラン」のように複数国対応のプランを選んでおくと、スペイン以外の国へ移動する予定がある場合でもSIMを買い直す必要がなく楽
- 日本の番号(電話・SMS)はそのまま維持しつつ、データ通信だけ現地用に切り替えられるデュアルSIM運用ができる端末なら特に快適
- 対応機種やプラン容量は事前に確認しておくと安心(滞在日数に対してデータ容量が余る/足りないという事態を避けられる)
地下鉄の券売機の言語切り替えや、Uberでの配車、Googleマップでのルート確認など、通信環境があることが前提の場面が多いので、到着直後から使える状態にしておくと初日から動きやすくなります。
クレジットカード事情

マドリードは全般的にキャッシュレス対応が進んでおり、地下鉄の券売機、タクシー、レストラン、小さなバルまで、クレジットカードやタッチ決済がほぼどこでも使えます。
- Visa・Mastercardは特に通用度が高い
- 少額決済でもカードが使える店がほとんど
- ただし、地方の小さな個人商店や市場の一部の屋台では現金のみのケースも
- 海外利用手数料が気になる場合は、Wiseなど手数料の低いデビットカードを併用する旅行者も多い
現金

キャッシュレス化が進んでいるとはいえ、現金がまったく不要というわけではありません。
- 公衆トイレの利用料(0.5〜1€程度)
- 空港バスの運賃(現金払いのみのケースが多い)
- チップを渡したいとき
- カード払い不可の小規模店舗
これらに備えて、小銭を含む少額の現金を持ち歩いておくと安心です。
多額の現金を持ち歩く必要はなく、財布に入れる分と、ホテルのセーフティボックスに預ける分とで分散管理するのがおすすめです。
チップ

スペインには日本のようなチップの義務はなく、あくまで任意です。
事前情報として「良いサービスを受けたら少額を置く文化がある」とはよく言われますが、筆者の場合、レストランなど現地の対面会計でチップを払う機会は特にありませんでした。
カード決済が主流で、会計時に「チップを含めますか?」と聞かれることも特になく、渡さなかったことで気まずい思いをすることもなかったです。
一方で、Uberでは利用後にアプリ上でチップを支払いました。
Uberアプリには配車のたびに運転手へチップを渡せる機能があり、金額もアプリ上でボタン一つで選べるため、現金のやり取りなしで気軽に渡せるのが便利でした。
対面での「渡す・渡さない」の判断に迷う場面がないぶん、かえってチップを払うハードルは低く感じました。
「渡さないと失礼」と身構える必要はなく、現地の流れやアプリの案内に任せて問題ないというのが実感です。
治安

外務省の海外安全情報では、スペイン全土は危険レベル0(特段の注意)とされており、凶悪犯罪の発生率自体はヨーロッパの中でも比較的低い部類です。
ただし、観光客を狙ったスリ・置き引きなどの軽犯罪は多く、特にマドリードとバルセロナは日本人の被害報告が多い都市として知られています。
【マドリードで特に注意したいエリア】
- ソル広場(プエルタ・デル・ソル)
- マヨール広場、グラン・ビア通り
- アトーチャ駅周辺
- レティーロ公園、スペイン広場
- 地下鉄車内・駅構内などの公共交通機関
夜間の一人歩き、特に女性の夜間の単独行動は避け、深夜の移動はタクシーや配車アプリを使うのが安心です。
宿泊エリアを選ぶ際は、サラマンカ地区のような比較的落ち着いたエリアを検討するのも一案です。
現地の生活リズムについて

スペインは夕食の時間自体が遅く、20時を過ぎたあたりからバルやレストランが賑わい始め、街に繰り出す人がぐっと増えます。
私は20時にはホテルに戻っていたいタイプなので、街がこれから盛り上がろうとしている時間帯に人の流れと逆行することに驚きました。
「治安が悪化する時間」というより「街が本番を迎える時間」という感覚に近く、危険なわけでは決してありませんが、日本の生活リズムに慣れていると最初は戸惑うかもしれません。
早めに休みたい人は、その時間帯の人混みを見越して行動計画を立てておくと安心です。
スリ対策

スリの手口は年々巧妙化しており、「親切そうな声かけ」がきっかけになるケースも少なくありません。
以下のポイントを押さえておくだけでも、被害リスクは大きく下げられます。
- 貴重品は分散して持つ:財布・カード・現金を1か所にまとめない
- バッグは体の前で持つ:リュックは背負わず、前に抱えるか斜めがけに
- カフェ・レストランでは荷物を目の届く場所に:椅子の背やテーブルの上、足元への放置は避ける
- 写真撮影・スマホ操作の前に周囲を確認:夢中になっている瞬間が最も狙われやすい
- 不要な声かけには警戒する:「写真撮りましょうか」「道に迷っていますか」といった親切心を装った接触には注意し、不要なら笑顔できっぱり断る
- 偽警官に注意:身分証やパスポートの提示を求められても、本物の警察官は身分証を必ず提示します。不審に思ったら周囲の目がある場所で確認を
- 混雑した車内・駅構内は特に警戒:地下鉄の乗り降りのタイミングで人がぶつかってきたら、まず自分の荷物を確認する習慣を
私の体験談
アトーチャ駅でソル駅までの切符をどの券売機で買えばいいか分からず迷っていたところ、見知らぬ男性が声をかけてきました。
本当に親切心からの声かけなのか、手伝った後にお金を請求されるタイプなのか判断がつかなかったため、「大丈夫です」とだけ伝えてやんわり断りました。
実際に、券売機の操作に困っている観光客に声をかけて「手伝う」ふりをしながら、後からお金を要求したり、隙をついて財布やカードを盗んだりする手口は各所で報告されています。
結局、自分で英語表示に切り替えて操作すれば特に難しいものではなかったので、困っているように見えても、まずは自分で解決を試みる、もしくは駅員など制服を着たスタッフに聞くのが安全です。
万が一被害に遭った場合は、最寄りの警察署で被害届(Denuncia)を取得しておくと、保険請求やパスポート再発行の際に必要になります。
パスポートのコピーを別で保管しておくのも忘れずに。
語学について

「スペイン語ができないと旅行が大変そう」というイメージがあるかもしれませんが、筆者はスペイン語はあいさつ程度しかできない状態で旅行しましたが、英語で問題なく過ごせました。
ホテル、レストラン、地下鉄の券売機(言語を英語に切り替え可能)、Uberアプリでのやり取りなど、観光客が接する場面では英語が通じることがほとんどです。
もちろん簡単なスペイン語のあいさつ(Hola / Gracias など)を知っておくと現地の人との距離がぐっと縮まる場面もありますが、「話せないから不安」と旅行を諦める必要はまったくありません。
気温・服装

筆者が渡航した1月のマドリードは、最高気温9℃・最低気温2℃ほどで、日本の東京の真冬と近い感覚でした。
「スペイン=温暖」というイメージを持っていると油断しがちですが、内陸性の気候のため、冬はしっかり冷え込みます。
驚いたのは、到着した翌日の朝にみぞれが降っていたこと。
1月のマドリードで雪やみぞれに遭遇する可能性もゼロではないということを実感しました。

さらに、「マドリードは雪が降らないだろう」と勝手に思い込んでいたのですが、空港近くから見える山々がうっすらと雪化粧しているのが見え、内陸の高地にある都市なのだと改めて実感しました。
一方で、市街地では晴天の日が多く、日中に太陽が出ていると体感的には数字以上に暖かく感じる場面もありました。
- ダウンコートなど、しっかりした防寒着があると安心
- 朝晩の冷え込みと日中の陽射しとで体感差があるので、脱ぎ着しやすい重ね着がおすすめ
- 雨・みぞれに備えて、折りたたみ傘や防水性のある靴もあると心強い
- 石畳の道が多いので、防寒に加えて歩きやすい靴を選ぶと快適
しっかり準備をしておけば、マドリードはとても魅力的で歩きやすい街です。
事前情報を頭に入れて、安心して旅行を楽しんでください!
本記事の情報は執筆時点(2026年7月)のものです。ETIASの運用開始時期や交通運賃などは変更される可能性があるため、渡航前に必ず外務省や各公式サイトで最新情報をご確認ください。

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